これらのマテリアルデザインやレスポンシブデザインそして、フラットデザインなどが生まれた背景から見てみると、EC業界に関しては必ずしも、こうしたデザインがマッチしないこともあるそうです。どうしてもシンプルかつミニマル、そして、人によっては地味な印象を与えてしまうこともあってか、ユーザーのサイトの利用性よりも、コンバーションに繋ながる装飾が必要になることが多いからです。
特に安さを売りにしている販促の場合だとフラットデザインが逆効果に転ぶことも多々あります。しっかりとした企業のブランディングが出来ていないとこうした流行ものに乗ることも難しいですし、コンバーションにつながる施策を打つことも難しいでしょう。また、色彩やタイポグラフィのセンスが無いとどうしてものっぺりとした詐欺サイトっぽくなってしまう点も頂けないでしょう。
最近はペラのランディングページなどでもこうした「パララックスデザイン」によって装飾を施すことが多くなってきています。ウィンドウスクロールに応じて演出を発生させる技法の総称として用いられていまするこれらですが、そもそも何故これだけの流行を見せることになったのでしょう? それはPCのマウスの進化やスマホの登場によってスクロールに対しての抵抗が減ったことと、そうした商品の情報を見る際に、ユーザーが不用意なクリックを避ける傾向があるということもあり、コンテンツをページ分割せず1ページ完結型のサイトで、スクロールにフックしたアニメーションが流行り始めたというわけです。しかしこうしたスクロールに過度な演出を加えたり、スクロールを制御したりする行為はユーザーから反感を買うこともしばしばで、特にこれらの視差効果は頭を疲れさせるため、嫌いな人も非常に多いです。さらに挙動も重く、読み込み量も多いとなればユーザーは「不要な演出」と感じるでしょうし、スクロールをJSでコントロールすることで「いつものスクロール感覚と違う」気持ち悪さを感じてしまうことも度々あります。このようなパララックス演出をもし取り入れるのであれば、このような注意点を踏まえた上で導入を検討しましょう。
1つのHTMLソースで複数のデバイスでの表示に対応したサイトを作る「レスポンシブデザイン」。既に殆どのサイトで取り入れられている技法で、1ソースでページを管理することによるコストの低減を目的としたことが多いレスポンシブデザインですが、本当に低コストでのサイト制作に繋がるのでしょうか? コストを下げる要因としては「ワンソースなので管理がラク」「(UA等を使った)事前のページ振り分けを考えなくていい」という2点が挙げられます。ウィンドウ範囲だけでビューを変えることができるからこその大きな利点です。一方コストを上げる要因になりうるのが「デバイスによってコンテンツを大範囲に変えることができない」「結局CSSを書く総量はさほど変わらず、むしろ保守が難しくなる確率がある」「JSの対応に注意」「各種ブラウザ対応(特にIE)」です。扱い方を誤れば手数が増えてしまう確率があるのもレスポンシブデザインの特性です。コンテンツの性質もあわせ、事前にレスポンシブデザインに適したサイトであるか確認する必要があるでしょう。
レスポンシブデザインの目的はそもそもマルチデバイス対応です。マルチデバイスに対応したサイトの作り方は他にもあります。まず「viewportを固定しサイトを拡大・縮小して表示」する方法です。iPhoneのサイトがスマートフォン対応をしていない、というのは有名な話ですが、そもそもスマホブラウザは拡大・縮小が標準の機能となっています。むしろレスポンシブデザインで拡大・縮小機能を殺してしまうことで、ユーザビリティが低下する確率だって考えられるのです。文字サイズを大きく設定する(16pxより上が目安)等読みやすさを向上させる工夫を施しましょう。また「そもそもスマートフォン向けサイトだけを作る」という発想もあります。最初から小さいスクリーンサイズに向けて作れば、PCでも表示できるわけです。ファーストフードの短期キャンペーン等でよく見られる手法です。
例えば、Twitterを利用したキャンペーンなどのランディングページを作るのであれば、間違いなく、こうしたレスポンシブデザインを採用する必要があります。なぜならTwitterユーザーの70%がモバイルユーザーであるため、PCからもモバイルからも快適に見ることが出来るサイトの方が需要があるからです。しかし、会社などのコーポレートサイトなどで、載せている情報が会社情報位しかない場合はレスポンシブにする必要性が果たしてあるのかどうかは本当に謎です。